がれーぢブロガー

バイク、車、建設機械を経験した整備士が車やバイクのメンテナンスや修理方法、おすすめの工具などについて書いています。

長期放置されたバイクはガソリンが腐る?一年乗らないだけでかからない理由

2017/09/26

(※2019/12/12 記事更新)

 

こんにちは。フリーランス整備士ブロガーの「ぼす」です。

 
先日、日本の一般民家の納屋から見つかった長期保管されていたフェラーリ2億円で落札された事が話題になっていました。
 
こういうニュースを見ると、仕事がら「タンクのガソリン腐っとるやろな。」って思ってしまいます。
 
えっ?って思った人。
 
実は、ガソリンって腐るんです。
 
 
「どういう事?」と思う人もいると思います。
 
ガソリンやエンジンオイルなどは長い間使わないで放置してしまうと酸化とよばれる変化がおきて、特にガソリンは強い悪臭を放ちます。
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これは実際に体験してみない事には伝わりにくいのですが、くさったガソリンは鼻の奥にツンとくるなんともいえない悪臭です。

 

 

ガソリンはいわば、なまものなんです。

  

Q. ガソリンが腐ったらどうなるの?

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長期放置されたバイクのガソリンが腐ったらどうなるのか?

 

数々の中古車整備を経験して見てきた長期放置されたバイクでよくある症状と原因や注意点を解説します。

 

1. ガソリンタンクが開かなくなる 

私は仕事がら、長期放置されたバイクのガソリンタンクを開ける瞬間によく立ち会います。
 
そういうバイクは近づいただけで、なんともいえない臭いがただよってきます。
 
 
ガソリンタンクのキャップを開けた瞬間に、周囲100メートルぐらいは臭いがひろがる事もあります。
 
 
ガソリンタンクのキャップが開くやつはまだマシです。
 
こういうガソリンタンクのキャップかなりの確率で開きません。
 
 
タンクキャップにカギを指しても、まわりません。
 
なぜかと言うとガソリンタンクの中が錆びてタンクキャップも固着しているからです。
 
   
 
 
☆ガソリンが腐る原因
長期放置されていたガソリンタンクの中が腐る原因は、ガソリンタンクの中の空気から水分が発生する事や、揮発成分が抜けていったガソリンが酸化する事によっておこります。
 
 
酸化したガソリンは、ガソリンタンク内に発生した水分や不純物などの影響でガソリンタンクの金属を溶かします。
 
 
 

2. ガソリンが腐るとエンジンがかからなくなる 

他にも腐ったガソリンはガム状の粘りっこいドロドロした物質を生成したりします。
 
 
このガム状の物質がガソリンタンクの底にたまったり燃料ポンプ燃料コックキャブレターなどが詰まる原因になります。
 
 
Fi車(フューエルインジェクション車)の場合は、インジェクターノズルが詰まる原因になったりします。
 
 
その結果エンジンがかからなくなったり、たとえエンジンがかかってもエンジン回転が吹け上がらないなどの不具合の症状が出ます。
 

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 ☆ガソリンの消費期限
では、タンクのガソリンは「どのぐらい放置したら腐るのか?」という疑問なんですけど、これは保管状態にもよります。
 
ですのでいちがいに消費期限はいつまでです!」とは言えません。
 
 
早くて半年でガソリンタンク内のガソリンが腐る事もあります。
 
 
そしてバイクや車の長期放置期間が長ければ長いほど必ずと言って良いほど、ひどい状態になってたりするものです。
 
 
古いバイクなのにやたら外装がキレイだなと思って、ガソリンタンクに近づくと「うわっ!くせえ!」って事はよくあります。
 
 
 

 【注意!】 ガソリンが腐っている車両は無理矢理エンジンをかけてはいけない!

こういった長期放置車両バッテリーなどもあがっていて、エンジンがかからない場合がほとんどです。
 
 
なんとかしてセルが回ったとしても、キャブレターからオーバーフローと言ってガソリンが漏れてきたりします。
 
  
一番最悪なのはフューエルハンマーと言う現象が起こる事です。
 
 
これは、エンジンの中に垂れ流しで入っていったガソリンが溜まっていたりします。
 
 
その状態に気がつかないで、エンジンがかかったと喜んでいたら、エンジンブローしたりします。ピストンシリンダーコンロッドなどを破壊してしまいます。
 
 
私が過去に見たのはクランクケースからコンロッド飛び出したもの、調子が悪くてエンジンを分解してみるとコンロッド曲がっているものを見ました。
 
 
こういった長期放置車両を何らかの形で入手したり、何年も長期保管していたバイクを久しぶりに乗ろうと思って自分で修理するのはチャレンジ精神があっていいことです。
 
しかし自信がなければ、信頼できるバイクショップにまかせた方が安心できます。
 
  
で、ここまではガソリンが腐るってどういうこと?・・・という解説でした。
 
 

 【自分でもできる】錆びたガソリンタンクの修理方法。

ここから先は自分でガソリンタンクを修理してみようとゆうチャレンジャーに向けて解説します。
 
 
大前提として、ガソリンタンクにガソリンが残っている場合は出来る限りガソリンを抜いてください。
 
 
抜いたガソリンを入れる容器は、静電気などが発生しないものを使用してください。
 
 
抜いたガソリンは廃油引き取り業者に引き取ってもらうか、危険物を取り扱っている事業所などで処分をして下さい。
 
 
 

1. まず、一番ひどい状態MAXのガソリンタンクが穴あきレベル。

 
残念ですが部品が入手できる年式のモデルなら、新品に交換したほうが手っ取り早いです。
 
 
なぜかと言うとその方が値段も安い場合が多いし、時間や手間もかからないから。
 
 
では新品部品も製造してない古い年式の車両や中古部品も見つからない等、部品が入手できない場合はどうするか?
 
 
 

2. ガソリンタンクを造りなおす。

 ガソリンタンクの錆びている部分を切り取って新しい鉄板を張り付けたり、ガソリンタンクそのものを作り直している板金職人の方もいらっしゃいます。
 
 
ただしガソリンタンク製作の費用はまあまあ高いです。
その高い技術力ゆえにそれに見合った金額は必要だと思ってください。 
 
 
 

3. ガソリンタンクのキャップが開かない場合は?

ガソリンタンクに穴は開いてないタンクのキャップが開かない。
 
 
この状態もガソリンタンクの内部はかなり腐食が進行していることがほとんどです。
 
 
しかしキャップを開けてどんな状態か、確認はしておきたいですよね。
 
 
 

4. サビで固着してカギが回らないキャップはどうやってあけるのか?

 
無理やりカギを回すと99%「ぐにゃり」とカギが曲がります。
 
 
曲がったカギを直して何度も挑戦しても、そのうち『ポキッと』折れます。
 
 
まずはカギ穴にサビを落とす潤滑スプレーなどを注入します。
 
 
十分に浸透したら、さぐるようにカギを少しずつ回していきます。
 
 
うまくいけばこれだけで開くことがあります。
 
 
開かない場合はカギを一回抜いて、ゴムハンマーでガソリンタンクのキャップをたたいて衝撃でサビを落としてみたりします。
 
 
 

5. 最終手段は鍵穴破壊

それでも開かないやつは鍵穴をドリルなどで破壊して、ガソリンタンクを傷つけないようにしながら力技で開けます。
 
 
 

6. 錆びたガソリンタンクの内部処理

ガソリンタンク内部が確認できたら次は内部の処理です。
 
 
ガソリンタンク内部の処理はまず水を入れてシャカシャカふって水を出すのを繰り返したり高圧洗浄ノズルを突っ込んで洗浄したりしてだいたいのサビを取り除きます。
 
 
次にガソリンコックなどを外した穴を、アルミテープでふさぎます。
 
次に、サビ取り液を取説に書いてある通りにガソリンタンクに入れてください。
 
タンクの錆び取り剤やタンククリーナーには以下のものが効果が実証されていますのでおすすめです。
 

 

 
 
あとは取説に書いてある時間放置した後(だいたい24時間) 抜き取って、洗浄して乾燥させます。
 
 
ガソリンタンクの状態によっては、サビが再発しますのでタンク内部に塗装の膜を作るコート剤があるので以下のようなコーティング剤の使用もおすすめします。
と、まあ腐ったガソリンによってサビたタンクの修理方法はこんな感じです。
 
 
 
【Point】. 燃料コックやキャブレターのパッキン類は必ず交換する。
腐ったガソリンにやられてタンク内部がひどい状態の場合はだいたい燃料コックキャブレタも腐ったガソリンにやられてる場合があります。
 
 
本来なら腐ったガソリンでタンク内部がひどい状態の場合はキャブレターや燃料コックもオーバーホールしないとガソリンが漏れる原因になります。

 

  

比較的ガソリンタンク内部がキレイで少ししかサビなどが発生していなかった場合や、燃料コックやキャブレター、フューエルポンプなどがキレイで正常に機能する場合はそのまま組付けて、新しいガソリンを入れてみても構いません。
 
 
もし燃料コックやキャブレターのゴム類やパッキン類が劣化してひび割れていたり、固着している場合はガソリンが漏れてくるはずです。
 
問題が無ければ、ガソリン携行缶にガソリンスタンドで新しいガソリンを入れてきて試運転してみても良いです。
 
 
【注意】ガソリンスタンドからガソリンを給油する時はガソリン携行缶を使う。 
少し話が本筋からそれますが、大事なことなのでここで説明させて下さい。
 
修理したガソリンタンクにガソリンを入れて試運転をするために新しいガソリンをガソリンスタンドなどから個別の容器に入れて購入する時は『ガソリン携行缶』を使って下さい。

   

【注意】よくあるポリタンク容器はガソリン入れには使用できません❗
 
なぜならポリタンク容器は温度上昇により体積が膨張しやすくポリタンク自体が破裂する可能性があるからです。
 
また静電気も発生しやすく、内部のガソリンに引火する恐れがあるからです。
 
 
(この事は消防法で定められています。)
 (追記、一部消防法の規格基準を満たしたポリタンク容器も有ります。)
 
 
「ポリタンクにガソリンを入れてくれ」と、フルサービスのガソリンスタンドの店員に頼んでも断られるはずです。
 
 
 
【要注意】セルフ式のガソリンスタンドでもダメなものはダメ!
なお「セルフ式のガソリンスタンドなら、誰もいないからポリタンク容器にガソリンを給油してもバレないだろう。」
 
 
と考える人がいるかもしれませんが、セルフスタンドでは監視カメラが設置されており給油に来たお客さんの一人一人をモニターで確認しています。(誤給油防止と防犯の為。)
 
 
ポリタンク容器にガソリンを給油しようとしてたら注意しに来て、断られるはずです。
 
 

なお、ポリタンクに灯油を入れるのは問題有りません。

 
 
 

【その他】腐ったガソリンをタンクから抜く作業をする時の注意点

話がそれたので、本筋に戻ります。

 

腐ったガソリンが目に入らないように、保護目がねや作業用ゴーグルを使用するのが良いでしょう。

 

腐ったガソリンが服に付いて臭いが取れない❗ 

衣服に腐ったガソリンがかかった場合。
 
 
もし、変質してものすごい臭いガソリンなどが着ている衣類などにかかってしまった場合は、あきらめて捨ててしまったほうが良いでしょう。
 
この、腐ったガソリンの臭いは、とてもしつこくて、通常の洗濯では臭いが残ります。
 
 
最初から、汚れや臭いが付いてもよい作業服や要らない服で作業しましょう。

 

軍手ではなく耐油のゴム手袋を使用する

また、手についた臭いもなかなか落ちないので、使い捨ての耐油のゴム手袋を使用するのが良いでしょう。
 
なぜかと言うと軍手で作業すると手に臭いがついて洗ってもなかなか落ちないからです。
 
ゴム手袋はエンジンオイル交換などの作業の場合にもよく使うので私は常に常備しています。
 

細かい作業がしづらい場合には薄手のゴム手袋も有ります。

 

 

 
以上、長期放置されたバイクはガソリンが腐るでした。
 
 

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